FC2ブログ

アイヌ民族広域分布説

アイヌ民族に関する情報を集めていると気になる記述が見つかる。それは、日本における古代アイヌ民族の分布に関する話。明治時代には、チェンバレンやバチェラーなど、アイヌ語研究を行った外国人研究者がいたのは有名です。彼等の学説は、「アイヌ語の地名が日本に広く分布してるので、古代にはアイヌ人が日本全域に分布していた」というものです。自分はこの学説を否定するつもりはありません。納得できる根拠があるなら素直に信じたいと思います。しかし、アイヌ民族が自分達の居住する狭い範囲に名付けた地名が、「大和」「出雲」「能登」などといった広域地名に無理やり関連付けられていたりする。殆ど語呂合わせの世界に近い。広域地名以外にも以下のようなものも事例とされている。

江ノ島のエノ・・・・・・イナウ(祈る)
富士・・・・・・・・・・フチカムイ(火の神)
指宿・・・・・・・・・・イープシーキ(爆発のあった場所)
別府・・・・・・・・・・ペップ(川の端)
四万十・・・・・・・・・シマント(澄んだ水)
熊野・・・・・・・・・・キムンナイ(熊=神のいる湿地)
日光二荒・・・・・・・・プタアラ(美しい高原)
利根川・・・・・・・・・トネ(もっとも長い)
黒部・・・・・・・・・・クロペ(魔の川)
遠野・・・・・・・・・・トーヌップ(高原の湖)
庄内・荘内・・・・・・・ショーナイ(滝のある川) 
花巻・・・・・・・・・・パナマキ(川の中流にある平野)

発音が近い事は認められるが、偶然と言えないこともない。更に、どれも特定の場所を指すような意味を持っておらず、汎用的な形容表現です。これを根拠とするのは説得力に欠ける。
近代の言語学者によっても厳しく批判され、否定されているのも頷けます。しかし、未だに、この学説を引用してる人がいるのには驚きます。先学の研究成果を踏まえてもなお、そう考えられる根拠があるなら致しかたない。
しかし、もしアイヌ民族広域分布説を主張するなら、そろそろ古い地名発音からのアプローチではなく、考古学や理化学的な手法で証明して欲しいと思います。でないと近年の研究成果が生かされない事になる。これは勿体ない話です。

語呂合わせといえば、アイヌ関連だけではない。外国語の単語の「音」と日本語の「音」の似た点を見つけてきて、それを根拠に歴史をつくってしまう人達もいます。世界には古言語を合わせれば数百では追いつかない程の言語がある。人間の発音できる音声パターンには限度がある。「音」だけに着目したら確率的にも似たものがあるのは当然だと思う。それらを発音だけで結びつけて、超古代史やトンデモ歴史論を語るなど信じ難いことです。





にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

文化面で東日本の出土の縄文土器や土偶の文様は、
アイヌの衣装文様に似てますね。少なくとも東、北日本は
アイヌ民族だったのではないかと想像してます。

No title

> もりさわしずかさん
確かに文様は似てるかも知れませんね。北海道のアイヌ氏族の痕跡は東北中部まではたくさんあるようです。東北南部や関東地方では少ないようですね。ただ、アイヌ人と東北蝦夷は人種的には少し異なっています。東北蝦夷は縄文からの在地氏族でしたが、のちに関東人や西日本人と混血しています。現代では、DNA的に殆ど西日本人と変わらないそうです。
プロフィール

形名

Author:形名

カウンター
カテゴリ
カテゴリ別記事一覧
最新記事
最新コメント
本ブログ内検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
参加ブログランキング