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東国の古代史

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2010-12-28 (Tue)  00:40

傷つく体と修復メカニズム(2)

 2010年12月23日付けの新聞やオンラインニュースに以下の記事が発表されました。
 
 《 癌治療における妨害たんぱく質発見、メカニズムも解明 》

 癌の放射線療法などでDNAの2本鎖を人為的に切って生じさせた「二重鎖切断」を修復してしまうため、治療の妨げとなっていたたんぱく質の働きを、東北大加齢医学研究所の安井明教授(分子生物学)らの研究グループが突き止めた。修復メカニズムが解明されたことで、効果的な治療法の確立が期待される。二重鎖切断が生じた癌細胞は死滅する傾向があるため治療に利用されてきたが、「KUたんぱく質」と呼ばれる特定のたんぱく質が修復してしまうことが課題だった。研究グループがDNAの切断部に集まるたんぱく質を解析した結果、新たに「ACF1」、「SNF2H」など4種類のたんぱく質を発見。「KUたんぱく質」は、4種類のたんぱく質のうちどれか1種類と結合しなければ働かなくなるというメカニズムも解明した。
今後は、癌細胞に「ACF1」や「SNF2H」が存在するかどうかを調べれば、抗癌剤や放射線療法によって二重鎖切断を作り出す治療が効きやすいかどうかを、事前に特定できるようになるという。
 
 
地味な記事でしたが、分子生物学にとっては大きな出来事なのかも知れません。ただ、この記事は余りにもサマリ過ぎて、本来の研究目的や、従来の認識と新発見の事実がどう異なるのかが省略されていて理解できません。また記事からは、癌治療のための研究のように受け取れますが、実際のところが知りたくて少し調べてみました。
  
この研究では、多数の二重鎖切断を人の細胞のDNAに作りだし、そこに作用するタンパク質を可視化して解析するという世界でも初めての実験環境を作るところから始まったようです。これまでヒト細胞では、KUと呼ばれるタンパク質が二重鎖切断部位に直接作用して、切れた二重鎖DNAを再結合して修復を行うと考えられていました。
しかし、この新しい実験方法を使って、KUタンパク質が二重鎖切断部位に作用するには、DNAの周りのクロマチンを動かすクロマチン組織修復因子と呼ばれる多数のタンパク質群が関わっていた。まず、組織修復因子が二重鎖切断を見つけて集まり、そこにKUタンパク質が結合して修復を開始するのです。クロマチン(chromatin)とは、細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体のことを指します。従来から俗に染色体と呼ばれている部分だと思います。つまり、修復には従来認識のような単純ではなく、未知のタンパク質群が関与していた。
 
 
 
次回に続く



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