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東国の古代史

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2011-04-13 (Wed)  07:25

ウイルスでやっつける癌治療(2)

2回目は「G47デルタ」と呼ばれるヘルペスウイルスの作用メカニズムについて触れます。「G47デルタ」は、遺伝子操作によって、約80個あるウイルスの遺伝因子のうちの3個の働きが止められています。

 ・γ34.5 遺伝子
 ・ICP6 遺伝子
 ・α47遺伝子
 
テレビ番組ではあまり詳しい説明はありませんでしたが、参考サイト情報をもとに該当遺伝子の働きを止める事がどんな作用をもたらすのか分かり易く記載する。
  
  
(1) γ34.5 遺伝子の働きを止める
人間の細胞は、ウイルスに感染すると自身の細胞内でのタンパク質合成を停止して細胞として自滅する仕組みをもっています。云わば、自爆機構といえるでしょう。これは細胞内に入ったウイルスは細胞の中のタンパク質を利用して増殖しますからこれに対する防御システムです。
一方、ヘルペスウイルスには人間の細胞側のこの防御機能を阻止する機能をもっているのです。その働きをするのが、ウイルスが持つγ34.5 遺伝子です。そこで、遺伝子操作によって、ヘルペスウイルスのγ34.5 遺伝子を働かないように改変してしまいます。すると、次のような作用が期待できる。
 
◇人間の正常細胞
ウイルスの自爆阻止機能は働けないので、人間細胞の自爆機能が正常に働き、ヘルペスウイルスは増殖できません。要は餌が無い状態になります。
 
◆人間の癌細胞
癌細胞は元々、細胞の自滅機能が壊れた細胞です。だからこそ、体内で制御が効かず異常増殖してしまう。ですから、ヘルペスウイルス側のγ34.5 遺伝子の働きには無依存に、ウイルスは人間癌細胞の中で増殖していく。
 
 
(2) ICP6 遺伝子の働きを止める
ヘルペスウイルス側にある、ICP6 遺伝子はヘルペスウイルスのDNA 合成に必要な酵素を作る遺伝子です。ヘルペスウイルスも生物ですから、増殖するためにはDNA合成が必要です。この遺伝子の働きを止めると次の作用が期待できる。
 
◇人間の正常細胞
ヘルペスウイルスは人間細胞に感染してもICP6 遺伝子が働かないので、DNA 合成ができず、増殖することができません。
 
◆人間の癌細胞
人間の癌細胞にはICP6 遺伝子の代わりとなる酵素が豊富にあります。そのため、ヘルペスウイルスは自身のICP6 遺伝子が働かなくても、人間の癌細胞の中の酵素を使って増殖します。従って癌細胞ではウイルスが増殖する。
 
 
(3)α47遺伝子の働きを止める
人間の体にはウイルスに感染した細胞を、免疫細胞が見つけ出して食べてしまう機能があります。云わば感染してしまった細胞の掃除屋です。このとき免疫細胞は、ウイルスに感染した細胞が細胞表面に作る目印を頼りに攻撃します。
ヘルペスウイルスが持つα47 遺伝子には、この目印を減らす作用があります。ウイルスは、自身が感染した細胞が人間の免疫機構によって破壊されていくのを阻止して逃れようとするのです。従って、α47遺伝子の働きを止めると次の作用が期待できる。
 
◇人間の正常細胞
ヘルペスウイルスは、α47 遺伝子の働きを止められているため、感染した細胞が発する目印を減らす事が出来ない。そのため、次々に免疫細胞に攻撃されて食べられてしまうため、感染したウイルス自体も増殖することができない。
 
◆人間の癌細胞
癌細胞のほうも同様に、ウイルス感染した細胞の目印を減らす事が出来ない。従って、正常細胞と同様に免疫細胞に攻撃される。特に、癌細胞の場合は人間の抗がん免疫を担う免疫細胞が攻撃するのだが、目印が減らないので、癌細胞の減少効果が促進される。
 
 
 
以上が3つの遺伝子操作によって生まれる作用です。少々、ややこしいですが、実に巧妙なメカニズムが組み込まれています。(1)/(2)効果により、癌細胞でのみウイルスが増殖していくようになり、結果、癌細胞はヘルペスウイルスによって死滅してゆく。また(3)効果により、抗がん免疫機構が促進されるために、癌細胞は攻撃を受けて減少しやすくなるのです。

 



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